京都の伝統的な夏の風物詩である祇園祭は、東山区にある八坂神社の祭礼であり
全国の「祇園祭」と称される祭に大きな影響を与えてきた「本家」と言うべき祭です。
明治より以前は、八坂神社が祇園社と呼ばれていたことが、その名前の由来となっています。
祇園祭と言えばたいへん人気の高い伝統行事で
現在は7月1日から7月31日までの丸1ヶ月間に渡り開催される
長期間のおすすめのイベントでもあります。
この期間、京都の四条通り周辺は祭囃子が聞こえたりして
お祭り気分を味わえます。
山鉾(やまぼこ)が京都の町中を行き交う山鉾巡行と
その前夜祭とでも言うべき宵山(よいやま)は、毎年ニュースなどでも扱われる
祇園祭の中でも最も有名な行事となっています。
祇園祭の原型が始まったのは9世紀後半とされ、当時疫病が流行していたことが
その理由とされています。
昔は、疫病の流行は死者の怨霊がもたらす災い・祟りとされていたので
その祟りを鎮めるための御霊会(ごりょうえ)と呼ばれる鎮魂のための
儀礼(御霊祭=みたままつり)を行い、無病息災を祈ったことが
祇園祭の始まりだったのです。
室町時代以降に、現在のように山鉾(山車=だし)の巡行が
町衆と呼ばれる当時力を付けてきた有力な商工業者により行われるようになって
祇園祭の基本的なスタイルが確立されました。
戦後、一時は山鉾の巡行が地域住民の減少により存続が危ぶまれる
こともありましたが、新しい住民も山鉾の保存会に参加出来るようになったことで
担い手の減少問題は解消されてきています。
現在の祇園祭は、7月1日に各山鉾を運営する町(以下、山鉾町)の関係者が
祭の無事を祈願することから始まります。
翌日2日には、山鉾の巡行の順番を決める「くじ取り式(くじ引きのこと)」
が行われます。
順番争いが激化したことを緩和するため、1500年頃から始まったとされています。
尚、長刀鉾(なぎなたほこ)と呼ばれる山鉾は、くじ取り式に関係なく
毎年巡行の先頭を務めます。
稚児が乗るのも、現在ではこの長刀鉾のみとなっています。
7月10日からは、前年の祇園祭の後、各山鉾町ごとに
分解されていた山鉾を再び組み直して飾り付けする
「鉾建(ほこたて)」が始まります。
因みに山鉾の組み立てには釘が一切使われず、縄のみで組み立てられます。
鉾建の3日目には「曳き初め」と呼ばれる試し曳きも行われます。
この時には、外国人も含めたあらゆる人が試し曳きに参加出来るので
山鉾巡行の気分を味わいたい観光客などにも好評となっています。
7月14日から16日の夕方からは、いよいよ宵山が始まり
数十万人もの観光客や見物客が押し寄せます。
山鉾に吊るされた提灯に火が灯され祇園囃子が流れます。
また宵山の期間には、各山鉾町が誇る宝物が展示され
厄除けのための粽(ちまき)、御礼、お守りが販売されます。
(厄除けの粽は如何にも京都らしくおすすめ商品です)
この期間(15~16日)、四条通や烏丸通の一部区間の夜の時間帯は
歩行者天国となり、露天も出て祭を堪能する人々で通は一杯になります。
7月17日午前には、いよいよ祇園祭のクライマックスである
山鉾巡行の前祭(さきまつり)が行われ23の山鉾が京都の町を行き交います。
これが終わると山鉾は一度すぐに解体されます。
巡行で集めた厄を取り払う意味があります。
2013年まではこの前祭に後祭(あとまつり)の山鉾巡行も
統合されていたのですが、伝統回帰ということで2014年から
後祭でも山鉾巡行が行われるようになりました。
7月24日の午前中から、10の山鉾が巡行する形になっています。
ただ、前祭よりは宵山含め地味な規模となっています。