京都の各寺院では大みそかに除夜の鐘が突き鳴らされます。
そんな中でも、最も重々しい音を京都の街に響かせるのが知恩院の除夜の鐘です。
この知恩院は、浄土宗の総本山として知られ、またその梵鐘(ぼんしょう)は、
高さ3.3メートル、直径2.8メートル、重さ約70トンという大梵鐘です。
奈良の東大寺の梵鐘に並ぶ大きなものとして有名です。
この知恩院の除夜の鐘は、親綱を持った僧侶1人とその他16人の僧侶が子綱持ち
掛け声と共に息を合わせて撞木を大きく引き、その後、親綱を持った僧侶が
仰向けにぶらさがるように体を延ばし、身を呈して鐘を突きます。
鐘が1度突かれる度に、3人の僧侶が五体投地の礼拝を行うと言う独特で厳かな
雰囲気の中で突かれる除夜の鐘です。
この風景は、テレビでも良く放映され、京都の風物詩と言えるものです。
京都の寺院の除夜の鐘の中には、一般の人が交代で鐘を突く事が可能な所も沢山ありますが
知恩院ではこうした突き方ゆえに、一般者が突く事はかないません。
厳かな除夜の鐘として見守りたいものです。
知恩院。
大きな門構えだ。初めて訪れる人々はその大きさにまず圧倒される。
浄土宗の総本山。
門を上がって奥にに進むと法然上人の像があり、智慧の道は見上げるばかりの道なりだ。
その大きなお寺には大晦日に17人で突くという大鐘がある。
京都の底冷えする盆地特有の寒さの中、人々は大晦日にこの大鐘を目指す。
そこには宗教的な意味合いを持つ人もいれば、先祖から受け継いだ風習の元に
馳せ参じる者もいるだろう。もちろん、純粋に新年に向けての志を携えて、
あの大門をくぐる者もいる。
人の心は皆違えど、古くから繰り返されてきた光景であり、
これからも続く大晦日の除夜の鐘への行進だ。
京都。
古くから続く寺々が軒を連ねる千年の都。
その中で響く鐘の音はまた、他の都市とは異なる趣。
そこには時を重ね幾層にも積み上げられた文化があり、歴史が空気に染み込んでいる。
今年も師走がやって来て、古都の鐘たちは今や遅しと待っている。
108回の歴史の染み込んだ空気の振動を。